養育費の取り決めについて

養育費の取り決めについて

養育費の金額はどのように決めたらいいの?

未成年の子供を持つ夫婦が離婚をする場合、通常は養育費の取り決めを行うかと思います。取り決めを行わないまま離婚した場合であっても、あとから請求することも可能です。

では養育費の金額は、どのようにして定めればよいのでしょうか。

多くの場合は養育費の支払いは月々行われますが、その金額については、裁判所に「改定標準算定表」というものがあります。これを見れば、審判になった場合に認められる養育費の概算が分かります。

この算定表は、最高裁判所の司法研修所が、ライフステージ別にかかる親の費用、子供にかかる費用など、世帯にかかる様々な生活費等のデータをもとにしたうえで、権利者(養育費の支払いを受ける方)と義務者(養育費を支払う方)の年収、子供の数、年齢により、それぞれの養育費の額を決定しているものです。この額には2万円の幅が持たせられています(義務者が低収入の場合の幅は1万円)。

(なお、本来は計算式がありそれに基礎収入などをあてはめて計算することになりますが、それをさらに簡易的な表にしたものが、上記「改定標準算定表」です)。

この算定表ですが、長年、金額が安すぎてひとり親家庭の貧困の原因になっているという批判がありました。

そこで、2019年にようやく、算定表の見直しが行われ、1~2万円の増額がなされたところです。(平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について | 裁判所 (courts.go.jp)算定表もここにあります)

もちろん、夫婦間の合意があるのであれば、算定表とは異なる額で取り決めることも可能です。

しかし、裁判になった場合に、この幅を超えるような額が養育費として認められるのは、算定表によることが著しく不公平であると認められる場合に限られます。なぜなら、それぞれの夫婦・ご家庭に様々な事情はあるかと思いますが、この算定表の金額の幅の中に、通常の範囲のものは考慮されているからです。

養育費の支払義務は何歳までか?

よく問題になるのが、子供が何歳まで養育費を支払わなければならないのか(請求できるのか)ということです。

養育費の支払義務は、基本的に「成人」に達するまでとされています。現行法上は20歳で成人すると定められていますので、原則として20歳が支払終期となるでしょう。

もっとも、養育費は子供の扶養義務に基づくものですので、たとえば子供が高校卒業後就職した、などの場合は養育費の支払義務はなくなります。逆に、子供が大学進学した場合は、成人してもまだ未成熟子(成人しているかいないかに関わらず、経済的に自立てきていない子供のこと)といえますので、大学卒業時を養育費の支払終期と定める場合もあります。

子供が高校卒業後に就職するか進学するかは、離婚時点で不確定な場合が多いと思われますので、両親の学歴やそれまでの状況などにかんがみて、子供の進学可能性を検討した上で養育費の終期を決めることになります。

なお、2022年4月より、改正民法が施行され、成人年齢が18歳となります。それでは原則の養育費支払終期も18歳になるのかというと、そのようには考えられていません。これまで子は20歳までは未成熟子であると考えられてきたという背景があるところ、成人年齢が18歳に引き下げられたとたん、未成熟子を脱するのが18歳になるとは考えられないからです。

同様に、すでに当事者間や調停調書などで養育費の支払終期を「成人に達するまで」と取り決めていたとしても、この「成人」とは「20歳まで」と解するのが合理的ですから、民法改正によって「18歳まで」と変更されるものではないと考えられています。

夫婦で養育費の合意ができない場合

では、夫婦の話し合いで養育費の金額等が折り合わない場合はどうすればいいのでしょうか。

まず代理人(弁護士)をつけて交渉するという方法があります。弁護士は、養育費権利者の立場であっても、義務者の立場であっても、養育費に関する諸問題を熟知しています。また、たとえば算定表の枠を外れた増額または減額を交渉したい場合などは、その根拠となる特別の事情があることを、適切に相手方に説明することができますので、この時点で合意に至れる場合が多いでしょう。

それでも合意に至らない場合は、養育費請求の調停を家庭裁判所に申し立てることになります。調停でも決まらなければ、審判に移行して、裁判所が養育費の金額を決定するという流れになります。

調停を申し立てる家庭裁判所は、義務者の住所を管轄する家庭裁判所になります。よって、義務者が遠方に住んでいる場合は、権利者が遠方の裁判所まで出向く必要がありますので、時間と費用がかなりの負担になってきます。

この場合、弁護士を代理人に就けていれば、電話会議による調停の出席が認められています(弁護士の事務所からの電話に限る)。ご本人のみで自宅から電話会議により出席することは、その人が当事者本人かの確認が困難であることから、認めないのが現在の裁判所の運用のようです(※)。ですので義務者が遠方に住んでいる場合は、行けないからと諦めず弁護士に相談されてもよいかと思います。

また、弁護士に依頼することで、相手方や裁判所とのやり取りをすべて一任できる、書類作成や必要書類の提出といった煩雑な作業も任せられるといったメリットもあります。

養育費に関してお悩みの場合は、ぜひ一度弁護士に相談されてみてください。

※裁判所によっては、当事者に裁判所の調停室等を使用しての電話会議出席を認めているところもあるようです。この場合であっても、電話会議による出席が必ず認められるわけではないのでご注意ください。

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